夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

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森見 登美彦 (著)

黒髪の乙女

・天然キャラの女子大生。

・魅惑の大人世界に憧れて、夜の木屋街に繰り出すほどの好奇心の持ち主。

・他人には優しいが、とことんマイペース。

・底なしの酒量を誇る。

・「先輩」の想いには気づかず、待ち伏せはすべて奇遇だと思い込んでいる。

・得意技は、万能のおまじない「なむなむ!」と、姉から授かった「おともだちパンチ」。

先輩(私)


・京都の某国立大学に通う、偏屈で妄想癖のある大学生。

・クラブの後輩「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せるが、思考ばかりが先走りがちで行動がともなわない。

・本人いわく「彼女という城の外堀を埋め続ける日々」。

羽貫さん


・鯨飲という言葉がもっともよく似合う、大酒飲みの美女。

・職業は歯科衛生士。
・得意技は、宴会にまぎれこんでタダ酒を飲むことで、酔っぱらうと人の顔を舐める。

樋口さん


・「天狗」を自称する正体不明の若い男。

・韜晦の底が見えない。

・なぜかいつも浴衣を着ている。
・地に足のつかない想像をすると宙に浮かぶという「樋口式飛行術」を会得している。

東堂さん


・「東堂錦鯉センター」の経営者。

・厄介事がたび重なったうえ、最愛の鯉たちを竜巻にさらわれて落ち込んでいるところに「乙女」と出会う。

李白さん


先斗町界隈では有名な超お金持ちで、謎の老人。

・自家用三階建て電車に乗っている。
・本業は金貸し

・古書売り立て会を主催したり、偽電気ブランの元締めを務めたりもする。

千歳屋


京料理「千歳屋」の若旦那。

文化遺産の保護を口実に、春画の蒐集を趣味としている好事家で、「閨房調査団」の一員。

古本市の神様


・あらゆる本についての知識を持っていて、神をないがしろにした蒐集家の書庫から本をさらうといわれている。
・かわいい外見に似合わず、少々性格が悪い。

学園祭事務局長


・男にしておくにはもったいないほどの美貌の持ち主。

・趣味は落語と女装。

・学園祭で起こる様々なトラブルへの対応に忙しい。
・「先輩」の数少ない友人の一人で、彼が秘めた想いにも気づいており、ときにはからかい、ときには励ます。

パンツ(元)総番長


・失恋をきっかけに、願いごとが叶うまでパンツを穿き替えないと誓った大学生。
・歴代の記録を塗り替えて「パンツ総番長」の称号を手にした。

・学園祭でゲリラ演劇「偏屈王」を首謀し、脚本した人物。

須田紀子さん


・学園祭で本物そっくりの「象の尻」を出し物にしている女子学生。

・好きなものは、小さくて丸い達磨。

好きな言葉

「死ぬのは怖いな」「年をとれば怖くなくなるのかと思っていたが、ますます怖くなるな俺は」「そうかい。俺はそうでもない」「おまえは昔からそんなやつだ」「考えると不思議ではないか。この世に生を受ける前、我々は塵であった。死してまた塵に返る。人であるよりも塵である方が遥かに長い。では死んでいるのが普通であって、生きているのはわずかな例外にすぎない。ならばなにゆえ、死が怖いのか」

 

恋に恋する乙女は可愛いこともあろう。だがしかし、恋に恋する男たちの、分けへだてない不気味さよ!

 

たとえ行く手に待つのが失恋という奈落であっても、闇雲に跳躍すべき瞬間があるのではないか。今ここで跳ばなければ、未来永劫、薄暗い青春の片隅をくるくる廻り続けるだけではないのか。諸君はそれで本望か。このまま彼女に思いを打ち明けることもなく、ひとりぼっちで明日死んでも悔いはないと言える者がいるか。もしいるのなら一歩前へ!

 

諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。

 

彼女は微笑み、声にならない声で「奇遇ですね」と言った。私も声にならない声で「たまたま通りかかったものだから」と答えた。

 

人事を尽くして、天命をまて。

 

かくして先輩のそばへ歩み寄りながら、私は小さく呟いたのです。こうして出逢ったのも、何かの御縁。

感想

 

2章3章は笑いもあり、最高だった。恋愛に理屈などなく、一歩進む勇気が必要なのか。先輩のキャラも最高で、あの樋口さんに根性で勝ったり、屋上から落ちて、なんとか生存するところも良かった。私も人事を尽くして天命を待ちたいし、夜は短し歩けよ乙女のような愉快な人生を歩んでみたい。